Eden 第103話 「無駄とか言ってんじゃねぇ」に寄せて

あらすじはさておき、マーヤの解説する社会のなんたるかが面白い。というかマーヤの解説をちょっと誤読気味に解釈すると面白い。

マーヤは社会について語る前に、まず生態系(Ecological System)について説明する。生態系は生物の死ですら無駄なく利用するようにできている。それゆえに生態系は高効率なシステムである。

しかし個々の生物個体にとっては生態系という環境は残酷なものである。子孫を残すことなく死んだ個体にとってその一生は無駄なものであり、その死は無駄死にである。

生態系は死ですら無駄なく利用する"ために"運不運と損得に左右される理不尽を個体に対して課す。生態系は高効率であるが"ゆえに"残酷なシステムである。

ヒトはこの理不尽から逃れるために相互に助け合うシステム、つまり社会を作った。この理不尽に抵抗しようという試みは生存率の上昇という意味で成功した。ヒトは技術力を上げながら社会というシステムを進歩(Progress)させてきた。しかし社会が進歩してシステムが複雑、高度化するとその社会の中で個人は理不尽を受けるようになる。例えばそれは戦争による理不尽な死であり、例えばそれは人種による理不尽な差別でありうる。

理不尽を受け、不幸なまま死んだ個人にとって***は全く無駄である。しかし高度社会は理不尽による***ですら無駄なく利用しつくす。高度社会は***ですら無駄なく利用する"ために"理不尽を個人に対して課す。ゆえに高度社会は高効率であるが"ゆえに"残酷なシステムである。

さて***には何が入るでしょうか?


でまあ、それもさておき、"高度なシステムは必然的に残酷である"と誤読するとマーヤは原理的に"システム"によって魂を救うことはできない、あるいは新しいシステムが高度化するまでの時間稼ぎしかできない。最初は完全にこう誤読していたので、見開きのページで"ひと泡吹かすってどうやって?「脱」システム?それって何?"と一人困惑した。それって何?