二つの封筒問題(2)
結局あんまり進展はない、のだけど
現時点での思考方針や疑問点を書いてみる。
前回のが目に付いたので、今。
この問題はそもそもどういうものだと思っているかといえば、
矛盾から発生したものだと思っている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%89%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9
においてパラドックスに関する説明を読み、この場合は
数学において、公理系に生じた矛盾点のこと。
に対応するようなものではないかと思っている。
今の思考方針としては、
例えばhideee氏のおいたような状況設定は数学的に、というよりも論理的に矛盾しており、
そのことによって偽なる結論が導かれている、
という仮説を立てて、それを示すようにアプローチしていく
という方向で考えている。
矛盾から偽なる結論が導かれているというよりは、
矛盾する条件どうしをその時々にあるものを無視して適当に展開していくことで、
でてくる結果も矛盾し合うようなものを導くことができてしまっている、
という方がイメージに合っているかもしれない。
ではなにが矛盾しているのか。
- 「封筒に入っている金額は確率的に振舞う」
- 「それぞれの金額のでる確率は等しい」
- 「封筒を1つ開けてみるとある有限値のお金が入っている」
この3つの要素の間には矛盾が存在し、3つともが成立することは
ありえないのではないかと考えている。
確率変数が離散的でも連続でも本質的な部分は変らないと思って、
確率変数は0からの間の実数Rとし、
これが確率密度にしたがって確率的に振舞うとする。
ようするに、Rを中心に微少範囲dxになる確率はであると。
Rってのは、封筒に入ってる小さい方でも、大きい方でも、2つの封筒の合計金額でも
別に対して話は変るまい。
まず、上の条件とは別に少し判りやすそうな条件を考えてみる。ここで、
- は1に規格化されている()
- は一様分布(どこでも)
- は常に0より大きい(どこでも)
という3つの条件は直感的には常に3つは成り立たないと思われる。
例えば、条件2と3を仮定するときには、
はどこでも0よりも大きいある値となる。
その場合にはとなって、
条件1は満たされない。
まず浮かぶ疑問としては、条件1と2を仮定した時に、
本当に条件3を満たすようなが存在しないかどうかである。
前回ちらっと考えたようにデルタ関数のような奇妙な何かがそこに当てはまることができるかもしれない。
本当のデルタ関数そのものでは条件2を満たすことができないように思えるし、
例えばだとかを考えてみたけれど、やはりうまく行かない。
しかし、そのような何かが存在しない、といいきっていいかどうか少し不安。
これは確率、というものの詳細をあまり理解していないことに起因していて、
ルベーグ積分だとか測度だとか完全加法性だとかともっと仲良くならなければならないかも…。
他にも規格化、というのは別に1に限るわけじゃなくて、
例えば積分したら2になった、というときは全体を2で割っとけばなんとかなるのだけれど、
それが積分したら無限大になった、というのは本当にマズイことなのかどうか、
そういう状況から普通の確率として成立させられるとか、
うまく1に規格化できたりする方法があったりしないだろうかというのも不安。
で、例えこの下の3つの条件が同時に成り立たない事がわかったとしても、
さらに上の3つの条件にうまく繋げられるかという問題もある。
下の条件3が上の条件3と等しいかどうか?といわれても
どうやって等しいかどうかを決めていいのかよくわからない。
確率密度が規格化できなくても、確率的に振舞う事ができるかどうかというのもよくわからない。
これらの疑問がうまく(肯定的に)片付けば、
おそらく何が矛盾なのかというのももっとはっきりと見えて来ると思う。
どのステップでどの条件を無視した為にパラドックスが生じるのかということも。