わら人形論法という用語の語源

"わら人形論法"という用語が使用されているのを見る。
http://d.hatena.ne.jp/D_Amon/20061019/p2
何故、ワラ人形なのかが気になる。どういう経緯で、誰が藁人形の例えを使い出したのか?


http://web.sfc.keio.ac.jp/~t95014ha/Hiyorin/shinkou1.html
によれば
クリティカルシンキング・実践篇―あなたの思考をガイドするプラス50の原則
http://www.bk1.co.jp/product/01466039/
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4762820938
において"わら人形論法"という用語が使用されているらしい。

他いくつかのサイトでそれぞれ用語出典が示されていたが出版年度に着目してみると、これの1997年よりも古い出典を見つけることができなかった。ひょっとしたらかなり新しい言葉なのかもしれない。(もちろんそうではないのかもしれない)

わら人形論法が何故ワラ人形であるのかよく分からないと感じるのに対して、雪ダルマ式論法がなぜ雪だるまなのかというのは、比較的よく分かる。なぜならたぶん、"雪ダルマ式に"という形容が比較的広い範囲で通用するはずだから。借金は藁人形のように増えたりしない。


逆に何故ワラ人形であるのかという事は、たぶん丑の刻参りに関係があるように思える。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%91%E3%81%AE%E5%88%BB%E5%8F%82%E3%82%8A
丑の刻参りにおける藁人形の使用の由来は知らなかったが、wikipediaの情報が確かならば中国由来などではなく日本で独自に発生したものだ。"ワラ人形論法"の概念が日本語圏外から輸入されたもので、丑の刻参りとの関連から日本語においてそう名づけられたのなら、"ワラ人形論法"の命名者は翻訳者という事になると思う。



などと考えていたが、実は全然そうではなさそうであることが分かる。
http://garyoan.hp.infoseek.co.jp/logic.10.htm
の(4)の内容はわら人形論法の指すそれと同じでありながら、"わら人形の虚偽、または、かかしの虚偽(the straw man fallacy)"と名付けられている。
ストローマン - Wikipediaとして項目がありやがる畜生。なんだよストローマンって。

まとめ

  • ワラ/わら/藁のような単純な表記揺れじゃなくて論法/虚偽なんていう飛びにくい表記揺れもあります。
  • その飛びにくい(しかも日本語圏ではマイナーな)表記からでないと語源に飛べないこともあります。(google:"straw man" "人形論法")
  • 語感に引き摺られて探索すると遠回りなことがあります。
  • まず英訳した方が早く求めていたものを索出できることがあります。
  • わら人形論法と丑の刻参りには関係がないようです。戦闘訓練用のわら人形と関係があるようです。(Straw man - Wikipedia)

追記

わら人形論法が丑の刻参りと関係があるように書いている人もいますた。
http://blog.goo.ne.jp/sakujyo_2005/e/8352c87bd46a2e57bd7c022209e3b81b

というか、ワラ人形論法を"背景や裏の意図を決め付けて攻撃すること"とするのと、"相手の主張を歪めたものを攻撃すること"とするのではちょっと感じが違うな…。前者は丑の刻参りのワラ人形をイメージする方が近いような気がする。ヒトなんて所詮ミームの依り代で…とかなんとか。

"わら人形論法"という用語を使う人と"わら人形の虚偽"を使う人はともかく、ストローマンを使う人はえっと…。日本語版Wikipediaが語源だったりしないですか。