incompressible world

この世界は圧縮可能だろか、というようなことを思う。あの子がいるなら、私はいなくていいのかな。
もし圧縮不可能だ、ということなら、たぶん、結構、気分がいい。「この宇宙を記述する唯一の方法はこの宇宙である」みたいな。宇宙が有限サイズ(何の?表面積?)なら、同サイズの中で少なくとも1つは圧縮不可能であろうけれども、可能な(何が?)世界の内で圧縮不可能なものが1つしかない、ということになれば、もっと気分がいいだろう。世界が現にそうである理由。サイファ
でもまあ、記述言語とか出力文字列だとかの、そゆ関係がどうにもならないのだろうけれども。世界全体の外にある複雑性とか、そもそも世界の外にある「記述」って何よ。ということになるしそれは誰にもわからない。ヤバイ。

攻殻の原作にはシステムツリーという概念が登場する。世界のありとあらゆる関係からなりたつ樹。極小から極大まで、ソフトなものからハードなものまで、この世の全ての構造の階層とその間の関係の総体。
これは直ちに以下のような疑問を自分に想起させる。すなわち、「システムツリーというシステムのシステムツリーはできないの?」という。自分は、作中においてシステムツリーは、システムツリーのシステムツリーが存在することを防ぐ何らかの機構を持っているのだと、読解する。相対化を拒む機構を、外部化を拒む機構を、圧縮を拒む機構を。

でも、これだけ冗長性がありそうな世界でどうしたら、そんなことが。情報量無限大だったりするのかな、とかふと思う。例えば世界の存在確率が0だったら――現にそうであるということがありえないことであったら。その情報量は発散するでしょう、たぶん。
あ、でも無限から無限への圧縮もできるのか。アルゴリズム的にランダムな列どうしの関係ってどうなるのかしらん。