刑法は魂を知覚するか?

日本の刑法第38条には特別の規定がなければ罪を犯す意思がなければ、つまり故意でなければ罰しないとされている。また第39条には心神喪失者の行為は罰しないとされている。いくつか検索して見て回った範囲では第38条における特別の規定、というのは具体的には過失に関することらしい。過失というのが「注意すべきだったのに注意を怠った」という事象だと思えば、それを捕捉するための規定というのは結局「注意」という心的行動を捉えるための規定だとは考えられないだろうか。あなたの意思は、意識は…魂は注意をしたのかしていなかったのか。


自分には刑法は意思を、意識を、心を、魂をベースに犯罪を定義しているように見える。本当のところはよくわからない。それっぽいところを見ても専門用語の羅列で基本的素養がない自分にはピンポイントで解答を*1探り当てられない。
http://homepage2.nifty.com/and-/barexam/kousei[1].txt

でもまあ、とりあえずは考えながら書いていってみる。刑法が意思をベースに犯罪を定義していたとして、それで何が悪いか?

犯罪行為を加害者の意識*2、具体的な行為、被害者の意識*3という3つの観点から捉えてみる。ある法がそれぞれの観点について規定を持ち、その規定に抵触すれば犯罪であるとする。その法に規定されているものの集合をAとする。規定されているものに対応するときは\in A、規定されているものに対応しないときは \notin Aというわけだ。都合8通り表記できる。

  1. 加害者の意識\in A, 具体的な行為\in A, 被害者の意識 \in A
  2. 加害者の意識\in A, 具体的な行為\in A, 被害者の意識 \notin A
  3. 加害者の意識\in A, 具体的な行為\notin A, 被害者の意識 \in A
  4. 加害者の意識\in A, 具体的な行為\notin A, 被害者の意識 \notin A
  5. 加害者の意識\notin A, 具体的な行為\in A, 被害者の意識 \in A
  6. 加害者の意識\notin A, 具体的な行為\in A, 被害者の意識 \notin A
  7. 加害者の意識\notin A, 具体的な行為\notin A, 被害者の意識 \in A
  8. 加害者の意識\notin A, 具体的な行為\notin A, 被害者の意識 \notin A

1.の場合にそれが犯罪であるとされるのは全く自然だろう。逆に8.の場合に犯罪であるとされるのは全く不自然だ。3.4.7.8.の場合も、何ら具体的な行為がなくて犯罪というものだけあるというのも不自然だろう。

1.と2.の違いによって、犯罪であるとされるかそうでないとされるかというのは理解できる。例えば、セクハラだって、する側の意識が同等に下衆で、具体的な行為が同じであっても、される側で嫌だと感じたり、そうでないと感じたりするのはありうることであろうし、その感じ方の違いが重要だと思う。

気になるのは2.と6.が違うとどうなるのか。あるいは1.と5.が違うとどうなるのか。被害者の意識も、具体的な行為も一定で、加害者がどう思っていたのかによって犯罪とされる場合もあればそうでない場合もある…。うーん、どうも問題の切り分け方がよくなかったのかもしれない。被害者側は意識がどうかよりも、そもそも結果としての被害をパラメーターにした方がいいのだろか。ペンディング

*1:むしろ疑問を?

*2:犯意ってのと関係する?

*3:申告罪ってやつと関係する?